近所では留守中に電球だけが盗まれる奇怪な事案が多発している

私の夫は、幼い頃戦隊ヒーローが好きだったそうだ。だけど友達がロボットやフィギュアを買ってもらっているにも関わらず、夫の両親はあまりそういうものを与えたがらなかったため、ヒーローのおもちゃを持っている友達が羨ましくて仕方がなかったらしい。大人になってそのとき我慢していた衝動が爆発したのか何なのかは知らないが、彼は今、我が家の子供たちが好きなヒーローのフィギュアを積極的に購入している。

だけどそのおもちゃを子供たちに遊ばせることはなく、わざわざガラスのケースを買い、ご丁寧にもそこに陳列して眺めて楽しんでいるのだ。集まらないフィギュアがあると、わざわざネットオークションを利用してまで手に入れようとするので、私もちょっと引いているし、おもちゃで遊ばせてもらえない子供たちからはブーイングが起きる始末である。まあ、彼の子どものころの‘トラウマ’を知れば、仕方ないのかなと、少しは理解できる部分もあるが。

その人にも何かそんな風な‘トラウマ’があるのだろうか。我が家の近所では、留守中に何故か電球だけが盗まれるという奇怪な事案が多発している。金品に手をつけられるわけでもなく、家の中を荒らされるわけでもなく、どういうわけか電球のみが無くなっているそうだ。だから最初に被害に遭った家では、それが空き巣被害だとは気付かなかったそうで、近隣でそういった不思議なことが多発していると聞いて、うちもそうだったのかと気づいたらしい。

しかもLEDの電球ならば百歩譲ってまだわかるのだけど、百円ショップで売っている白熱電球まで狙われるらしいので、金銭目的ではなさそうだ。捕まるリスクを背負ってまで盗むものが、何故電球?私の勝手な想像だけど、きっとその犯人は小さい頃、家に電球がなく、それこそ爪に火を点すようにして生活していたんじゃないかしら?もしその犯人が捕まったら、是非聞いてみたいものである。